大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和30(オ)465 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理 由

論旨一は、原判決は判決書に事実及び争点の摘示を遺脱した旨主張するが、原審

は判決書の標題に事実と記載すべきところを理由と誤記したに過ぎないものである

こと明らかであり、また標題はともかくとして実質上事実及び争点の記載は現実に

なされているのであるから、所論は採ることができない。

論旨二及び三は、原判決に影響を及ぼすこと明らかな法令違背並びに理由の不備

又は齟齬があると主張する。しかし、手形法にいわゆる裏書の連続とは、裏書が形

式的に連続することを指し、所論のごとき実質的な連続をいうものでないばかりで

なく、原判決は、本件手形の裏書譲渡の経緯を認定して裏書が形式的に連続してい

ることを判示している。また、所論民法九三条後段の抗弁は、訴外D水産加工業協

同組合が債務負担の意思なく、被上告人(原告、被控訴人)がこの事実を知悉して

いるというに過ぎないものであるから、原判決説示のごとく被上告人の前者である

同組合が所持人たる被上告人に対し主張しうる人的抗弁たるに止まり、振出人たる

上告人等が適法な所持人たる被上告人に直接対抗しうる手形上の抗弁とは解するこ

とができない。従つて、原判決には所論の違法は認められない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、

主文のとおり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 真 野 毅

裁判官 入 江 俊 郎

- 1 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!